史上最高の戦車ゲーだった「パンツァーフロント」の続編(→前作レビュー)。舞台は北アフリカ。(エンターブレイン,PS2)■良くなった点
舞台が40〜41年のため,登場する戦車が大幅に変化。ドイツはともかく,イギリス・イタリア戦車がメイン的に登場し,さらにフランスのS35やH39までもが使える。おまけとしてチハ車やT-34,M3グラントも。
メジャーどころがほとんど無いため不満に思う人も多いかも知れませんが,この点に関しては僕は大丈夫です(むしろ歓迎)。逆に,ティーガーや4号戦車の活躍を期待している人には全く向きません。
ほとんどのシナリオの画面がいちおうキレイに。処理落ちもまぁ許容範囲。ただし独仏戦の「メルドーブ」は「おまけ」扱いなのか,他と比べてずいぶん見劣りがする。しくしく。
乗組員が負傷したり戦死したりします。たしかにリアルといえばリアルだけど,ゲームでこんなコトされてもどうしようもない。操縦手や砲手が死んだら,結局やり直すしかない――つまりゲームオーバーと同義なわけで。
前作は「撃破されたら終わり」であり,敵との距離感やプレイヤーの判断が強烈な緊張感を生み出しており,それが最高の戦車ゲーたらしめていたのに,「乗員の誰かが負傷したら事実上終わり」ではそんな緊張感が消えてしまう。さらに「負傷」はどうも装甲厚とは無関係に発生するようで,頑丈なはずの戦車に乗っていてもあっさりやられてしまう。(試しにT-34で1号戦車の群れに突入してみると,たちどころに戦死しました。一体どこが撃ち抜かれたんだ!?)
要するに, 「故障」と同様,オプションで「負傷」の有無を設定できないと困るわけで。
まず,飛んでいく弾丸のグラフィックが目標点に到達する前に,着弾判定が出る。なんだこりゃ。しかも弾速がやたら速くて,偏差射撃がかなり簡単‥‥というより偏差射撃なんてほとんど要りません。
また,被弾径始効果が過大に評価されている気配があり,本当に垂直でなければほとんど効かないことも多いです。‥‥いくら何でも2ポンド砲が1号戦車に弾かれまくる(距離500m),ってのはちょっと納得いかないんですが。
マップ画面が実際に見えるままの縮小に近い表現になっており,大変に非実用的。前作のような模式的マップの方がはるかにわかりやすい。この点は開発側は「改善点」としているようだけど,ユーザーとしてはわかりにくくなっただけ。
寮車への指示も複雑化しすぎており,使用に耐えない。
あと,グラフィックで非常に細かいところが凝っているが(砲塔を廻すとアンテナが倒れる,キューポラから戦車長が顔を出す,など),ゲームをする上では全くどうでも良い。車両によって変速の段階数が違うのも同様。
制作側としては「ほら,こんな細かいところまで凝ってるんですよ,マニア心くすぐるでしょう?」とでも言いたいのだろうけど,そんなことに凝るヒマがあるなら直すべき所は他にたくさんあるだろう。
シビアです。いや,「シビアでやりがいがある」ってのなら話は別ですが,かなりやる気をなくします。特に英軍戦車は榴弾が撃てないので,歩兵やら何やらを相手にすると恐ろしく面倒です(確かにリアルではあるけど)。あと,すぐ戦死するし。‥‥まぁこの辺は「慣れ」や「ウデ」の問題もあると思いますが。
またマップが極めて広大で,起伏はあっても森や建物といった障害物が少なく,どうも大味。自分が関われないなら,いくらマップが広くても,一度に登場するユニット数が多くても,全然意味無いです。そんなことに容量使ってる場合じゃないと思いますが。
このゲームの扱う期間は1941年5月までの7つ。たったの7つ。エルアラメインもモロッコ上陸もありません。それどころか「ハルファヤ峠」が無い!こりゃいったいどういう事なのよ。アフリカ戦といえば「88mm防空砲の水平射撃でマチルダ2を撃破」のエピソードがつきものなのに,それが無い。これでホントに戦車ファン用のゲームと言えるんですか?僕は別にドイツ軍ファンじゃないですが,それにしてもあんまりでしょう。戦車が絡むエピソードの中で1,2を争う有名な逸話じゃないですか?
金がないのか時間がないのか知りませんが,シナリオの少なさだけで十分不満点になりうるということを知っておいて欲しかったですね。または,数が揃えられなくてもシナリオ想定時期を分散させるとか,アフリカ戦だけに限定しないとか,方法はいろいろあったと思うんですけど。
まず,オプション項目が少ない! 前作と操作系統がだいぶん変わってしまったので非常にとまどったけど,そのあたりを解決する「キーコンフィグ」が出来ないのは非常にツライ。個人的には「履帯操作の上下入れ替え」がないのは大変苦しい。あと,説明書に書いてない操作がたくさんあるのはどーゆーこった。「L1/L2/R1/R2同時押しで急停止」のような重要な操作が説明されていないとは‥‥。
これで「チュートリアル」でもあるならまだしもですが,それもない。
はっきり言ってユーザーに遊んでもらおうという気が感じられない。
■総合(というか不満点のまとめ)
先に断っておきますが,僕は初代とbisがすごく好きでした。そして以前から続編が出ることを心待ちにしてましたし,今作「B型」の発売予告があった時には本当に狂喜乱舞しました。多くのパンフロファンが僕と同じ気持ちだったと思います。そして,その気持ちがこれほどまでにこっぴどく裏切られた怒りと落胆は到底文章には出来ません。期待するのも裏切られたと思うのも僕の勝手な主観ですが,しかしこの気持ちを伏せる気は起きません。それほどヒドいゲームでした。ゲームとしての品質が,前作に遥かに及んでいません。
‥‥おっと。気持ちが先行してしまいました。気を取り直して内容の評価ですが,簡単に言い切ると,「リアルさ=おもしろさ」というシミュレーション系にありがちな落とし穴にハマってます。つーか,それくらいいい加減わかっててくれよ。「とことんリアルにしたら面白いゲームになる」と本気で思うんですか?
この手のゲームに必要なのは,まずもって「ゲームとしてのバランス,おもしろさ」であって,それが達成された状態で,そのバランスを崩さない範囲で「リアルさ」を追求すべきです。この重要性の順序を取り違えたモノはそもそも「ゲーム」と呼べません。
そして,この「ゲーム性を重視した上のリアルさの追求」という意味で,前作の完成度は非常に高かった。コアファンは重箱の隅をつつくような文句を言ったかも知れないけど,それは「あとこの点さえ改善されていたら最高だったのに」という,ほとんど賛辞に近い不平だったわけで。
今作はゲーム性の上では枝葉末節,ありていに言って不必要と言える部分ばかりリアルになって,それでいてファンが一番重視する部分(弾速や判定,シナリオの数と選択etc.)は「‥‥。」で,そのへんはすこぶる不満です。
また,ゲーム性以外の随所にも焦りと「見切り発車」が露骨に現れており,そういう態度はメーカーとしてどうか,という気持ちが強いです。たとえ金と時間がなかったとしても,「操作をきっちり説明した説明書」ぐらい当然作れるはずです。
早い時期に拡張・修正版としての「B型bis」が出ることを切に願いますが,どうなるんでしょうねぇ。いやもう,この程度のがまた出るくらいなら続編は出なくていいかもです。
| 項目 | 評価 | コメント |
|---|---|---|
| シナリオ | × | 少なすぎて話にならない。北アフリカ後半戦はどうしたよ。 |
| システム | × | 初代,bisで良かった点が大幅に失われている。戦死システムも失敗。 |
| 操作性 | △ | 開発時間の都合かキーコンフィグが無く,いろいろとやりにくい(というか,この手のゲームでキー操作を変えられると困る)。取説が用をなさない上にチュートリアルもないというのは一体どういう事ですか。 |
| グラフィック | ○ | フランス戦を除けば美しい。(PS以下という意見もあるけど,そこまでだとは思いません) |
| 音楽 | − | bisで追加された音声は無し。bisに慣れた身としては寂しい。 BGMはオプションで「戦車は進む,アフリカを(「灼熱のアフリカ大陸」)」と「我らがロンメル」を選べるが,英仏伊の曲は無い。 |
| キャラクター | − | なし。 |
| 総合 | × | 単品で見ればさほどでもないのかも知れないけど,前作と比べると不満点が目に余る。少なくとも,もっと「製品」として完成度の高いものを出して欲しかった。 期待との落差があまりに大きく,多くのファンを裏切った罪は重い。よって当サイト初の「総合:×」を進呈。 |
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